第4章 コマンダー


初めてアシュタールに会った日から、4年が経った。

 

最初のセッション以降、テリーさんが日本に来るたびに、グループセッションに参加していたが、ここ1年ほど遠ざかっていた。

 

そんな中、地元高知でアシュタールのセッションが開催される事を知った。


今度は、個人セッションを受ける事にした。そして、私は初めてアシュタールに、自分の家族の事を聞いてみるつもりだった。


アシュタールのセッションまで、あと2ヶ月を切った頃、一人の男性が、私のサロンにやってきた。

その男性は、イギリスの紳士のような三揃えのスーツ姿で現れた。


彼が店に来るのは、その日が初めてだったが、私は彼を知っていた。

 

共通の友人を通じて、名前を知っている程度だったが、フェイスブックで一度だけメッセージをもらった事があったからだ。

 

彼はスピリチュアリズムに興味を持ち、フェイスブックでも超常的な話題をよく取り入れている人だったが、私は勝手な偏見で、彼を胡散臭い人だと思い込んでいた。

 
彼の名前を、ネットの予約ボード上に見つけた時、そして予約の時間になり彼が店に入ってきて、私が予想していた人が彼だったと分かった瞬間、私は「とうとう出会ってしまった。」と思った。

 

別に今までも、知り合う機会はいくらでもあったはずなのに、自分はどこか無意識的に、彼と関わる事を避けていた。

 

けれど、なぜ避けたいと思うのか、自分でも分からなかった。

 

彼は、今まで私が惹かれたタイプの男性ではなく、何となく「住む世界の違う人」という印象だった。

 

 

彼のほうはというと、私がフェイスブックに顔写真を載せていなかった事もあり、以前自分がメッセージを送った相手とは気づいていなかった。

 

私は、出来るだけ平静を装って、彼に他のお客様と同じように接する事にした。

 

意外にも彼は、とてもソフトな印象の人だった。
私は少し話をしただけで、彼の人の良さに引き込まれてしまった。

そして、彼が自分が思っていたような胡散臭い人ではない事を、直感的に悟った。

 
最初は知らぬフリを通すつもりでいたはずなのに、彼を前から知っている事を伝えるかどうか迷い始めた。

 
施術が終わり、お茶を出すタイミングで、私は彼に思い切って聞いてみた。


「もしかして、フェイスブックをやってますか?」
すると、すぐに打ち解けて話が弾んだ。

 

初対面なのに、なぜか相手の言いたい事が手に取るように分かるのが不思議だった。

 

彼の背後には見えない存在がいて、時々何か話し掛けてくる、と言った。

 

そして彼が、尋ねた。

「後ろの者が、コマンダーと言ってるんだけど、何の事だか分かる?」

 

コマンダー‥‥ですか?」


アシュタールの事だと思った。

 

アシュター ルは、宇宙船の司令官、つまりコマンダーと呼ばれていたからだ。


私は、何か運命的なものを感じて、こう言った。

「そういえば、アシュタールという存在をチャネリングする方が、今度高知に来ますよ。もしかしたら、セッションに呼ばれてるんじゃないですか?」

 

ところが彼は、あまり気乗りしないようだった。


「考えとくよ」

そう言って、その日は帰って行った。


数日後、フェイスブックメッセンジャーに、彼からのメッセージが届いた。


行くはずだった別のセミナーがキャンセルになり、代わりにアシュタールのセッションを申し込んだ、という内容だった。


アシュタールセッションに問い合わせた時、残っていたのが最後の一枠で、これは自分のために残されていたような気がした、と彼は言った。

 

セッションの日時は、私のすぐ後の枠だった。

 

「では、セッションの当日にお会いしましょう。」